一期一会:生涯にただ一度まみえること。一生に一度限りであること。



カレイドスコープ:百色眼鏡。万華鏡。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一期一会の 

カレイドスコープ



 



「佐助、ヤらしてくれ」

 

 

 

 


「は!?」
「そうと決まれば、はい、ちゅー」
「いやいやいやいや、どうやったらそうなんの!!!」
「大丈夫だ!俺、みんなに聞いてきたから!」
「なにを!!!」



旦那がいきなり突拍子もないことを言い出すもんだから、持ってた湯のみを手から落としてしまう。そんな俺にお構いなしに旦那は額にキスを落とす。旦那のキスが、ってゆーよりもくちびるがあまりに柔らかく俺のデコに触れるもんだから俺は面をくらう。



「ほら、俺ってアレだろう?」
「あ、あれってなに!」
「奥手だから〜佐助に手出せない子だろう?」
「いやいやいや出すな!やめて!」
「俺、佐助がだいすきだから、全部ほしいんだ。なんか俺が知らない佐助を、過去の子たちは知っているのだろ?なんかくやしいのだ!」
「く、悔しがる必要ないでしょ!!」
「だから、俺は、佐助が好きなんだ。言ってるではないか」
「ま、まさか…!」
「あ、別にホモではないぞ。ちゃんと女性が好きだ!」
「お、俺ちゃんとついてるよ!」
「佐助はついてても好きだ!」
「……!!!」

 



旦那はニコニコ。いやいや、この笑顔に騙されるわけにはいかない。だって俺の(忍の訓練云々ぬかしてのカウントなら)貞操の危機が!(ひー)だってどう考えても、旦那にヤられるとかありえないし!こわっ!

旦那がどんなにかわいくてもどんなにアホでもどんなに俺といても、俺は旦那にヤられるわけにはいけない。だって!

フツーに考えて俺間違ってる?

間違えてない!



「やめ!どいて!」
「えぇ〜今更なしだろ〜ここまできて!」
「旦那が勝手にしてるだけでしょ!」
「ええ〜」
「こ、これ以上なんかしたら殴るからね!」
「まあまあ佐助、落ちつけ」
「落ちついてられるかーーー!!」
「意外と短気だなぁ、佐助は」


チュ、と鼻先に旦那がキスしてくる。ひぃ!でもこんくらいなら別に平気だ。でも、さすがにこれ以上は…。旦那はまだニコニコ。



「佐助、別に俺だっていきなり考えなしに佐助とヤりたいとか言うわけではないぞ?」


「え?」



思わず聞き返す。「え?」って言葉は聞こえなかったからもう一度繰り返しを求める「え?」と、聞こえてますがあなた何を言ってんの?ってゆー理解できない「え?」がある。ここでは勿論後者だけど、旦那、なに言ってんの?は?

俺の眉間にできたシワを旦那の長くてほそっこい指が伸ばしてく。節くれだった指は少しでも触れたら折れそう。こんな弱々しい指先からどうしてあんな力がでるのか俺は不思議に思う。

旦那は力強かった。

ありえないくらい、拒否れないくらい。

 



「一期一会だ、世界は」
「はぁ?」
「もしかしたら、明日とか、今とか、バーンって隕石降ってきたり、マグマ噴き出したりして、死ぬかもしれない」
「いや、ありえないでしょ。フツーに」
「だからもしもだって!ちょっと佐助黙っててくれ!」



ムグ、と旦那が口を塞ぐ。むぐむぐ。



「まぁ、今のタトエはたしかに悪かったな。つまりな、今、目の前にいる佐助は次の瞬間には失われるだろう?”今”の佐助は”次”の佐助ではない。佐助の本質が変わらないとしても、一瞬、一瞬の佐助は失われるだろう?その瞬間を一緒にいれるのはすごいと思わないか?

ちょっと、佐助、俺の話聞いてるのか?



旦那が口塞いでんでしょ!!!!!!叫びたくなるけど、大人げなさすぎ、と思って俺はなんとか自分の中の自分を落ち着ける。ドウドウ、落ち着け俺!


「だから、今、佐助とこうしていれるのって、すごい。俺、佐助が好きだ。だから、ヤらなくちゃいけないだろう?」



な ん で や ね ん!←思わず関西弁



「佐助」

旦那が俺の口を塞いでた手を退ける。ようやくちゃんと酸素吸えて、一息。んで、ガツンと旦那の頭、はたく。


「ったーー!!!!」
「アホなこというな!」
「アホではない!」
「アホだ!」
「アホではない!」
「アホ!」
「ちがう!」
「アホ!」
「ちがう!」
「アホ!」
「ちがう!」
「アホ!」
「ちがう!」
「アホ!」
「ちがう!」
「アホ!」
「ちがう!」
「アホ!」
「ちがう!」
「アホ!」
「ちがう!」
「アホ!」
「ちがう!」
「アホ!」
「ちがう!」
「アホ!」
「ちがう!」
「アホ!」
「ちがう!」
「しつこい!!!」
「佐助のせいではないか!」
「だ、だいたい旦那がおかしなこと言うのが悪いんだからね!」
「おかしなことではない!」
「なにをどこでだれに聞いたかわかんないけど、ヤらせないからね!絶対!」
「なんで・・・?」


旦那はまた俺をぎゅっとする。すっぽり、つつまれる感覚にフラフラする。
なんなんだ、旦那、旦那は一体なにがしたいの。わかんない。俺ら今までうまくやってきたよね?そう思ってたのは俺だけだったわけ?

違うでしょ、旦那だって俺の側で笑ってたし、楽しんでたじゃん。それだけでいいじゃん。俺らってそんなわけのわからない、いや、わかりやすい愛情の表現とか必要ないじゃん。そんなわかりやすいもん、してしまったら、ありきたりな別れがきてしまうかもしれない。俺は、そんなありきたりな別れを旦那とするつもり、ない。



「旦那…」
「なんだ…」



俺は旦那の背中をポンポンたたいて、あやす。すると旦那は鼻すする。

泣いてるのか、旦那。
まったくもってホントのクソガキめ。
図体ばっかでかくなって、ちっとも心が育ってない。
旦那が漠然と持ってる不安、みたいなのきっと俺は分かってる。


だから俺はちゃんと旦那を受け止めること、できるんだよ。



「佐助…すきだぞ」
「はいはい」
「佐助…だいすきだ」
「わーかってるから」

 



仕方ないから俺は旦那にキスしてあげる。すると泣いてた旦那は顔をクシャってさせて笑う。まるっきりガキみたいに笑う。さっきまでの不吉な雰囲気はどっかきえたみたいに旦那は無邪気に笑った。ほっ。

とりあえず、これで俺の貞操はしばらく守られるだろう…

 

 

 

 

 

 

 

 

Truth is on the march; nothing can stop it now.

---Emile Zola

 

 

20070817

 

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