60秒で笑わせろ!!
笑激!60!
やばいやばい、マジでやばい。なにがやばいって待ち合わせ場所に政宗がいない。ホントにいない。マジでいない。これは、迷っちゃったんじゃないかとか、妖精につれてかれたんじゃないかとか、もっと具体的なナンパで連れつかれたんじゃないかとか、もしかして逆ナン?とか、それとも拉致?とか、そういう政宗に対する心配のやばい、じゃなくて、政宗がただ、自分の意思で、自分の足でここから帰ってしまったことに対しての、やばい、だ。
政宗と待ち合わせしたのは1時。
今、1時半。
はい、遅刻しました。30分、遅刻しました。いや、家はちゃんと10分前につくように綿密な計算をして出てきたのに、人身事故のせいで遅れた。なんだー!あほかー!と俺は電車の中で蒼白。メールを送っても音沙汰なし。電話しても留守電サービス。やばい、これはやばい。だけどその時はまだ”やばい”は仮定の”やばい”であって、俺はきっと政宗は待っててくれると思っていた。だけど、それは甘くて、政宗はいない。そこでさっきの”やばい”は本当に”やばい”って気がついて目頭が熱くなる。やばい、ないちゃいそうだ。いやいや、泣くもんか。政宗がいない待ち合わせ場所に俺は立ちすくむ。携帯、だして、履歴から政宗にコール。
calling…
calling…
calling…
calling…
Active
「政宗!?」
繋がると思わなかったから、声が裏返る。うわ、かっこわり!
”なに”
「帰っちゃった?」
”当たり前じゃん”
「ごめん、遅れた」
”別にいい”
「え、今日はもう遊ばない?」
”俺、怒ってんだけど。”
「はい…それはもう…」
声が、ピンと張り詰めた一本の糸みたいだ。こわくて、もちろん政宗の雰囲気が怖いんだけど、それ以上に嫌われちゃったらどうしようっていう怖さがグイグイ体の真ん中をのぼってくる。
”でも、佐助がうちくるなら、遊んでやってもいいぜ”
「へ?」
”お土産はハーゲンダッツのいちごでいい”
「う、うん!!!」
そして俺は政宗ん家に急ぐ(ハーゲンダッツのストロベリーと共に)
政宗ん家について渡すと「最悪、溶けてるし」って蹴られる。政宗はそれを冷凍庫にしまって、「なにボサッと突っ立ってんだよ?」ってパピコ食いながらいう。俺にはくれないのか、パピコ…ちゅーちゅーちゅぶりらちゅぶりららーとあややが頭ん中で歌ってます。
にしても、政宗、ニコリともしない。むっちゃムヒョウジョーなんですが。いや、遅刻したのは確かに悪かった。それは認めるし、謝った。ハーゲンダッツまで買った。なのに…
「なにひとりで百面相してんだよ」
「え?」
「つまんねえの?」
「え…」
「いたくねーなら、帰れば?」
「なんだそれ」
「そのままだけど」
「…むかつくんだけど、さすがに」
「俺だってむかついてるよ、佐助に」
「は?遅刻したのは謝ったじゃん」
「謝ったらハイおわり、なのがむかつくんだっつーの」
「ネチネチしつけーな、政宗は」
「んだよそれ、俺は、佐助と遊ぶの楽しみだったわけ、服とかどーしよーとか、どこいこーとか考えてたわけ。なのになんだよ、意味わかんね。結局佐助は口ばっかだ、好きだ好きだって、肝心なとこで俺をさみしくさせる」
そう政宗は一気にまくしたてて、あけてないパピコを投げ付けてきた。まだ溶けてないパピコはかたくて、あたったとこ痛い。けど、政宗が表情かえないで、パピコちゅぶりらら〜しながら涙流したのをみて、痛さも吹っ飛ぶ。
「政宗…」
「嫌いだ、佐助なんか。」
「俺は、好きだよ」
「…ウソツキ」
チュッ、と政宗がパピコ、食べおわる。
どうしようもないから、さっき投げ付けられたパピコを、俺はあけて、食う。
「…俺ばっかり、佐助のこと、好きみたいだ」
ボソッと政宗がつぶやいた。
そんなこと、ない。俺だって、すごく政宗がすきだ。政宗にならなにされたって、そりゃむかつくけど、むかつくっていうのさえも愛しちゃえるんだよ。だって、俺だって政宗と一緒にいるの、楽しみだった。政宗と一緒にいたいっていっつも思ってるんだよ。だから、遅刻しちゃってごめんね?ちゃんと誠心誠意謝らなくて、ごめんね?いっつも政宗はなんだかんだで許してくれたから、俺、甘えてたんだ。
政宗はなんにもいわない。
俺はどうするべきだろう?
パピコ、くわえながら、俺は、肩をゆらしてみる。ちゅーちゅーちゅぶりらちゅぶりらら、のリズムで、肩だけじゃなくて、あややの表情も真似っこしてみる。
「…なにしてんだよ」
俺に気付いた政宗は、呆れたみたいに、だけど笑った。
確実に、笑ったんだ。
(ヘイ、マイディアー!だらし無い僕だけど、あんまり怒んないで、笑っていてね!バカなことしかできないけれど、君を笑わせられたら、いいな!)
★おわり★
20070824
ちなみにタイトルはいつかわからんけどやってた番組名です。60秒で笑わせろ!なんだって。