(向こう見ずに奪取してダッシュ!)


(なんてサブイことにならないように。)


あーあ、やっちゃった。

クソ。

ガシガシ頭かいてみるけど、俺のイライラはどうしようもない。
言うつもりはなかった。
これっぽっちも、全然、なかった。
だけど、なんで言ってしまったかってゆーと、……わかんない。
おかしいなぁ、なんで言ったんだろ、俺。


だってもっとちゃんと考えて、もっとちゃんとドキドキして、もっとちゃんとロマンがあるべきだった。なのに、旦那がアホみたいに「佐助、なんだ〜?そんな見なくても団子くらいやるぞ!ほら!」とか言うから俺の中の何かが、よくわかんないけど、何かが
”行け!”って、言った気がして。そんでついつい俺は自分の心の声に素直に従ってしまったんだ。

 



好き、なんて言うべきじゃなかった。


だって明らかにに旦那はびびってたし、引いてた。あーあ。別に聞いてくれるだけでいいから、とかそんな気はサラサラなかったのに。言うならちゃんと言いたかった。そんだけ。困らせたいとかそんなんなかったのに、全く俺は。


だってこの気持ちはなかったことにするって決めてた。こんな気持ちは言うべきじゃなかった。言って困らせたり引かれたりして今までの関係…みたいなものを崩したくなかった。
生温い、ドロリとした空間を壊したくなかった。でも言ったってことは俺はそれだけじゃ足りなかったのかもしれないけど。


なんて、今気付いたみたいな感じだけど、ホントはずっと気付いてた。好きっていいたいとか、そういうの、俺は気付いてた。だって好きだって思っちゃったら、どんな形にせよ伝えたくなるもんだ。それを俺は今まで見てきたし、好きを伝える形ってホントいっぱいあんだなぁって引いたりもした。どんな好きでも、伝えたくなる。いいたくなる。表現したくなる。それは当たり前のことなんだ。それを無理矢理押さえ込むなんて不健康窮まりないし、そんなの続けられるわけがなかった。


はぁ、と俺は何度目かの溜息をつく。

旦那の部屋から逃げたのはいいけど、誰かと話す気にならないし、ブラブラする気力もなくて、俺はトイレの個室にこもる。あーだけど好い加減そろそろ出ないとなぁ。

だけど立ち上がりたくない。立ち上がったら旦那のとこに戻らなくちゃいけないし。
部屋戻ったら俺はどうすればいいのかわかんないし。
旦那の顔見れないよ、まったく。


あああああ…溜息で死ぬる。

 



頭抱える。コンコンとノックされる。なに!他あいてるでしょ!つかそんな切羽つまってんのかい!そんななら女子便いけー!!!とか理不尽に怒ってると、コンコンはゴンゴンにかわってゴンゴンはバンバンにかわってバンバンはダンダンにかわる。
う、うるさい…なにコイツ、そんなにアレなの…



「入ってます!」

 


「佐助!」


え?


「だ、旦那?」
「佐助出てきてくれ!とゆうかフツー出てくるだろ!こんな叩いてんのに!」
「ちょ、っ…」
「それともうんこか!忍者のくせにっ!」←言いがかり
「ちがうよあほ!」
「なら出てきてくれ!」
「な、なんで旦那ここわかったの?」
「勘だ!」
「か、勘!?俺じゃなかったら旦那相当アレだよ!」
「俺が佐助を間違うわけないだろ!」
「は?」


「佐助、佐助、佐助、俺、佐助がだいすきだ、だけど、佐助の好きと俺の好きは違うのか?好きは好きであろう?だから、俺は佐助が好きだ。いっぱい好きだ。なぁ、佐助、俺、佐助がいるからいろいろ一緒にがんばれるし、佐助と一緒だから前を向いて歩いていけるのだ。だけど、付き合うとかしてもこの好きが変わるとは思えないのだ。好きに違いはあるのか?なぁ、佐助。俺、ずっと今までみたいに佐助と一緒いたい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



え、えぇー…旦那ホントにアホだ〜…


こいつ、アホだ、ホントにアホだよ。思わずがっくりきて、頭便所の戸にガツン。痛い。「うわ!な、なんだ!?」とか戸越しの旦那怯えてるし。あーホント俺はこんなアホが好きなんでしょうか…。考え直すなら今だぞ自分。きっともっと楽チンな相手がいるだろうし、そっちのが即物的で正しい気もする。

だけど、

 


「さ〜すけ〜・・・」

 


とかって旦那のグスッと盛大に鼻をすする音が聞こえる。佐助、佐助ってアホみたいに呼びやがって。ああああ…。もー…。



「こら」

戸を開ける。すると旦那はパァッと表情を明るくする。

「佐助・・・」
「わかったよ、それでいいよ」
「え?」
「今まで通りでしょ?」
「ほんとうか?今まで通り?」
「あいあい」
「さすけ!」
「ぎゃっ!重い!」



あーもーホントに旦那は憎めない。まだいいや、このままで。きっとしばらくは旦那が離れることはないだろうし、それならそれでいい。その間に俺が変わるかもしれないし、旦那が変わるかもしれない。もしかしたら全然変わらなくて、またちょっと追い詰まったりするかもしれないけど、それはそれでそん時考えればいいはなしで、とりあえず今はこのまま現状維持でいいや。旦那といたいってゆーのはホントだし、旦那もそう思ってるなら、俺はまだ救われる。


ってゆーかあんなにスキスキ連呼されて付き合えないとかありえないんだけど。

早く気付け、アホ旦那め。

 



旦那は俺が好きなんだ!

 

まったく。

 

 

 

If I wasn't hard, I wouldn't be alive.

 If I couldn't ever be gentle, I woudn't deserve to be alive.

 

 

 

 

 

20070813

 

 

あ〜ゆきむらとさすけがすきです。

最後のはレイモンド・チャンドラーのプレイバックからパクっ・・・じゃなくて、引用です。

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