「ねえ、政宗、はやく起きて」

 


頬に感じる柔らかな感触。
いつもより少し高めの声。

 


これは、佐助、なのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

やわらかなあしもとに


「俺、オンナノコになっちゃった」
「は?」
「ほら」

佐助は俺に自分の胸を触らせる。
ちょっと待て、ほんとに待って。
ありえないから、ありえないから、ありえないから!

「え、ええ!?」
「ま、別にいいかな、困らないし」
「いやいや、困るだろ!!!!!いろいろ!」
「そうかなぁ」
「そうだって!」

ちょっとまてー!ちょっとまて、佐助!!!!

「あ〜でも、服買いにいかなきゃだめだね!せっかくオンナになったし。よっし、政宗、行くよ!」
「ちょ、佐助・・・!!!」



佐助の手にひかれる。いつもよりさらにちいさく、やわらかくなった佐助に、俺はちょっと、いや、だいぶ、ドキドキが隠せない。微妙にいいにおいするし!オンナノコ、特有の、いいにおいがする。佐助は全然オンナノコになったことなんか気にしないみたいにきゃあきゃあしながら買い物をする。イチマルキューで買い物したかったんだ!とかなんとか。セシルでむっちゃミニと、チューブトップ?とか言うののをかって、そんでもってPJで下着買うの!とかって俺をつれてく。そこにいたぎゃるに俺はむちゃくちゃ見られてまるで「彼女の下着にまで注文をつける男」の烙印を押されてるみたいだった。ちがうからな!相手は佐助だからな!うぅ・・・。


「政宗!これとかどうだろ!むっちゃそそられない?」
「しらねーよ・・・」
「も〜ちゃんと見てよ!中々ないよ!こんなとこ入れるの!」


佐助は乳のサイズはかってもらって、下着かって、ソニプラいって化粧品買う。おいおい、そこまでやるのかお前は!とか突っ込んだら「やりたいじゃん!折角だもん!」ってもう、この子をとめることはできねーな・・・と思うと目の前まっくら。佐助はトイレいって着替えて化粧してくる!って行ってしまったから、俺はソニプラブラブラ。あ、マンゴー買っとくかな。ドライマンゴーの甘ったるさがすきなんだよな。う〜ん、甘いもんがすきなのかもしれないけど。買ったマンゴーあけて、もしゃもしゃ食う。あま〜うま〜。あ、なんかぎゃるに見られてるし。ま、いいや。甘さが口んなかに広がって、俺はちょっと今の状況を整理しようと思う。だけど、そんな整理できるほどありきたりな問題じゃない。だってオンナになってんだもん!ええー!もー!佐助、学校どーすんだよ!ぎゃるになってる場合じゃねーじゃん!とか現実を考えると俺のココロの枷はさらに増える。佐助がこのままだったら、授業サボったり部活でだべったりする相手は佐助じゃなくなってしまうんだろうか。そんなんだめだ。佐助じゃなきゃだめだ。くだらないと思えることでも佐助じゃなきゃだめなんだ。俺らは誰か一人かけてもだめなんだ。偶然、集まったような俺らだけど、そこには偶然なんかじゃなくて必然が、運命が、あったと思いたい。



運命?


そんな言葉、信じられない。運命なんて、すべてが偶然だっていうことを信じられない弱い人間のいいわけだと思ってた。だけど、やっぱ俺らは運命であってほしい。そういう弱くて脆いけど、逆説的に強いもんがそこにあってほしい。



「政宗!」


佐助に呼ばれる。そこにはカンペキぎゃるな佐助。うわ、オンナだオンナ。ホントにオンナだ。オンナになるとちょっと背が高めって感じで、ミニスカから覗く足がやらしい。っていうか、むっちゃ佐助はオンナです!っていうのをアピールしてる。わかりやすいセクシーさは、そのまま佐助の性格を現してる気がした。


「よし!いこう!」



ぎゅ、と手をつながれて驚く。



「なに、別にいいでしょ?」


ああ、そうだ。


なんの不思議もない。


いつもなら一目を憚る事だって、今はなんの不思議もないことなんだ。普通に手もつなげるし、普通に笑い合えるし、普通にせっくすできるし、普通に…。って、そんなの、今までの俺と佐助の恋が普通じゃなかったかっていわれたら、今までだって普通の恋だった。普通に俺たちは好き合ってた。俺たちは別に普通じゃない関係にスリルを感じて抜け出せなくなってたわけじゃない。普通じゃない状況を楽しんで溺れてたわけじゃない。俺は佐助だから好きだったし、佐助も俺だったから好きだったに違いないんだ。普通、ってなんなんだろう。


「佐助」
「ん?」
「はやく、戻るといいな」
「ん〜そうだね。オンナノコも色々大変。乳揺れると痛いし、むっちゃ生足みられるし、スカートすーすーするし、化粧はめんどいし、それに、なんか、弱くなる」
「え?」
「政宗、俺、こんなきゃあきゃあしてるけど、ホントは、むっちゃこわい。このままだったら、どうしようって、むっちゃ怖いんだ・・・」



つないだ手に、力が篭った。


「大丈夫だろ、きっと戻る」
「そうかな・・・」
「戻らなくても、佐助は佐助だろ。それに変わりはないだろ」
「・・・ん」


大丈夫だ、佐助。


きっと明日とかあさってとかしあさって、きっとまた元の日々に戻れる。


やわらかなあしもとは、ぐらぐら揺らいで俺たちの世界なんて簡単にひっくり返ったりするけど、元に戻すことだってきっとできるはずだから。


だから安心して、眠って、戻ればいいんだよ。


俺は佐助のソバにいるから。

 

 


雑踏のなか、俺は佐助にキスをした。


いつもの生活が戻りますようにと、願いを込めて。




 

 

 

 

 



Every man's life is a fairly-tale written by God's finger

 

 

 

20070831

 

 

 

 

 

 

 

 

 


多分夢おちですよ(素)

 

 

inserted by FC2 system